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March 2020

2020.03.31

遠隔授業

新学期を迎えるには難しい状況で、普段読ませていただいている大学関係のツイッターでは遠隔授業の話題が多くなっている。

通信教育を受けたことがないので、久しぶりに放送大学を覗いてみた。豊田先生の心理統計学(3月31日午後3時45分から、最後の14、15回)を拝聴した。それぞれ、重回帰分析と今後の発展的学習のための講義であった。説明は明快でわかりやすくよく練られている。

講義内容は最近の「有意性検定」(統計的仮説の検定)から、ベイズ理論で統一的に」という最近の心理統計学のトレンドで構成されているようだ。最終回の発展的内容としてはコンジョイント分析、決定木、ロジスティック回帰分析、ニューラルネットワークなどの話題がとりあげられていた。従来の心理統計学の内容とそれほどちがいはないように感じた。(これらの方法の発展もベイズ理論によって統一的に理解できるという点が最近の進歩、ということだろうか。)

豊田先生は心理統計学の学習は初級からベイズ統計を基本にすべきであるという主張をされていた。統計的仮説の検定は事前分布を正規分布を仮定する場合として含むことができるから、従来の統計学を学ぶ際にも「尤度」概念をしっかり学習するのが良い、という主張であった。特に心理統計学の発展は検定というようりは母数の推定が重要となるから。

研究内容としては「心理学は構成概念の研究こそが心理学研究そのもの」であると断言されていた。また、現在の心理統計学は従来どおり「統計的仮説の検定」が主であるが、これは将来を考えると不適切ではないかということも主張されていた。(この点については心理学の研究分野によって実験系だとまた異なるものと思われるがそのあたりは私にはよく理解できていない。)

このような教材を視聴していると臨場感がなく、どうしても集中することが難しい。この点はちょうど30分ごろから受講生キャラクターの「ゆい」(ゆうい?)さんが登場して、質疑討論して擬似的な双方向学習となるように工夫されていた。一回分は45分間で、これにテキストで予習、復習すればたしかにきちんと学習することが可能だろう。

遠隔会議用には新しい便利なツールを利用できるようになっている一方で、通信環境の制約が課題になっているようだ。さまざまな工夫・提案があるが、(双方向でない)授業ファイル(+音声)とテキストベースでの課題出題あたりだとすぐにでも実現できそうだ(学習院大学の tasaki先生)。通信教育課程をもつ大学ではそのノウハウをすぐに利用できるかもしれない。
緊急避難としては放送大学単位を認定する(または教材として使用する)ことも可能だと思うが各大学のカリキュラムの独自性という点で課題が残るのかもしれない。

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2020.03.26

芝居小屋(岡山県美作市 春日座)

今回は岡山県の美作(みまさか)市ということで、3月23日放映の「鶴瓶の家族に乾杯」の録画を見た。今回ゲストは俳優の市村正親さんで、岡山県北東部の美作市にある芝居小屋を訪ねて見たい、という内容だった。この芝居小屋は春日座といって、地元の保存会(?)の方々で毎年秋に二日間(4公演)春日神社に奉納歌舞伎として続けられているということだ。この4公演は異なる演目が開かれ、満席になるということだ。地元の方々は二日間にわたって観劇を楽しまれるのであろう。

小屋自体は平成5年に現在の場所に再建されたといことだが、300人ほどの収容で、小屋の雰囲気は江戸時代から続いているような歌舞伎小屋の趣きが素晴らしいものだった。この雰囲気に触発された市村さんと地元の方が名場面をそれぞれアドリブで演じられた。マクベスの「、、、人生は影法師、あわれな役者だ。、、、」の一節と地元の方(安東さん)は「武智十兵衛光秀」と「加藤正清」の対決場面だった。ぶっつけ本番で臨場感あふれるもので、演者と観客で6名ほどだが一体化した場が創り出されたように感じた。小さい劇場の魅力はこういうところにあるのだろう、と思わせる素晴らしいものだった。市村さんの「舞台ってやっぱりいいですねえ」という感想がぴったりだった。

それにしても美作市は温泉地として有名ではあるが、このような芝居小屋をきちんと維持していることは驚きでもあるしすばらしいことだなあ。番組の中で登場されていた安東さんご夫妻のお父様の話し方やイントネーションが鳥取弁とも近く、なつかしい。いつか奉納歌舞伎を見に行きたいものだ。

参考資料

サイトで調べたところでは日本各地にこのような芝居小屋が(昨年訪れた丸亀の金丸座をはじめとして)全国には16座残されているようだ。

「全国芝居小屋会議 次世代に本物の芝居小屋の楽しさを伝える:伝統の芝居小屋」というサイトに各小屋の特徴等がまとめられている。

 

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2020.03.14

雲の心

先日録画していたヘウレーカ「雲の”心”読めますか?」を見た。今回案内人の荒木健太郎氏は慶應の経済学部を卒業後に気象大学校に進学し、現在はつくばの気象庁気象研究所に勤務されているちょっと変わった経歴をお持ちの方だった。気象大学校は私の自宅の近くでもあり、つくばの研究所からの筑波山の風景も見慣れた親しみのあるものだった。雲の研究に新しい気持ちで取組むことができるようになったのは自然現象を擬人化して表現してみるようになってから、ということだった。このあたりは、肩の力がほどよくぬけていてポップな気象学という印象で面白かった。

荒木さんはツイッターを通じて雪のマクロ写真を集めておられる。100円ショップなどで手に入るマクロレンズアダプターをスマートフォンにとりつけると手軽に雪の結晶を撮影できる。ツイッターで#関東雪結晶プロジェクト で検索するときれいな写真をみることができる。広く気象データを観測する面白い方法だと思った。

 今日は昨日の陽気も一転、午後から柏付近も小雪模様になった。

(参考文献 荒木健太郎「雲を愛する技術」光文社新書 2017)

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2020.03.11

ヴァーツラフ・ハベル

2月のNHK教育テレビ「100分de名著」は阿部賢一氏による「ヴァーツラフ・ハヴェル 力なき者たちの力」だった。旧チェコスロバキアの記憶はオリンピックの女子体操で活躍したチャスラフスカ氏や高校生の頃に「プラハの春」とその後の戦車による「正常化」をテレビニュースを通じて知っているのみで、その後の「ビロード革命」についてはほとんど知らずにいた。ハベルはビロード革命を主導した思想家で、劇作家であったそうだ。阿部先生はハベルのおかれた状況をわかりやすい例をあげて紹介されて、その分析は現代の日本の政治状況かとみまがうばかりで大変面白いものだった。『社会主義体制下の官僚制度における「言語の儀式化」』を指摘した。たとえば、現代では政治家や行政による官僚言葉が典型的なものだろう。また、『近代の政治は匿名の権力の「罪を担うことのない」装置に取って代わられつつある』と批判した。これに対抗できる「力なき者たちの力」をどのようなものと考えていたのだろうか。「自分がいかに無意味で無力であったとしても、世界を変えることができるのだと理解する可能性を、我々の誰もが秘めているのです」と述べ、「他の誰かが奪うことのできない唯一のもの」として「責任」(応答)概念を指しているようだ。

 

 

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