« 見学旅行1 | Main | 誤用 »

2012.09.22

見学旅行2

 見学旅行2日目は資生堂横浜リサーチセンターへ。東急線日吉駅からグリーンライン(横浜市営地下鉄)に乗り換えて,最寄り駅は東山田駅。五反田の頃から数えると最初の見学からもう10年になる。研究所の平尾さんには見学の度に時間を割いていただき,大変お世話になっている。
 はじめにリサーチセンターの概要をVTRで。横浜研究所では商品の開発・製造も行われており,所内見学ではファンデーションの製造について,その素材・材料の実物をもとに説明してもらった。なにげなく使っているものの中にもさまざまな素材材料について高度な基礎研究が反映されている。所内では調香士の方のブースも見学した。香りには芸術としての側面もあり,実験室のようでもあるが,アトリエの雰囲気がある。
 所内見学のあと,平尾さんから化粧心理学についてのレクチャーを受けた。製品開発や生産において心理学がどのような役割を果たしているのか。平尾さんは心理学の応用について一連の開発プロセスとして説明された。
1.市場・「お客様」の分析・調査
2.商品企画(1の調査をもとにしたコンセプト固め)
3.化粧品の設計(モノとしての設計と商品価値の「設計」とのすりあわせ)
4.「商品」の検証
 これらの各段階で心理学の調査法やインタビューの技量,実験心理学の諸技法が応用されている。特に,この研究所を見学するたびにすばらしいなあと思うことは,「価値」を具体的な「モノ」として製品として実現する一連のプロセスが「ヒューマンサイエンス研究」として位置づけられていることである。食品産業などでは感性・官能評価として取り入れられている例は多いが,心理学研究が企業の中でこのように明確に位置づけられている例はまだまだそう多くはないものと思われる。感性・官能評価法も基礎的な心理物理学的測定法そのものであるが,一般には心理学の応用領域であることは知られていないように思われる。このようなプロセスは化粧品のような価値産業のみでなく,他の産業においても応用することができるものであり,心理学の応用領域は至る所にあるのではないか,と思う。
 質疑では学生からもいくつか質問がでてよかった。化粧品の値段についての質問があった。これは面白い質問で,商品の価値をどのようにして決められるのだろうか。私は化粧品,特に香水のような商品はむしろアートとしての側面が強く,それこそプライスレスなものだと思うが,商品価格の決定というのは心理学的な要素も含まれている。
 私は,化粧心理学関係の基礎研究の規模について伺ったところ,心理学研究誌に通用する程度,という回答で,これは大学でも十分に実施できる規模である。研究としては最初から直接的に応用を目指すものでなくとも,多面的に人間にかかわる基本的なテーマにとりくむことが大切なように思われる。
 また,企業の社会的貢献に関わる活動も重視されているようだ。この観点からは化粧とQOLの関わり,各種の化粧療法等の取り組みが行われている。このような企業の本質にも関わる社会貢献は企業の社会的価値を高め,社員のモラルの向上に寄与することになるのであろう。
 見学予定の時間はあっというまに過ぎてしまい,お昼に記念撮影をして研究所を後にした。幸い小雨もあがり,日吉駅,新橋駅で一部の学生は現地解散し,お昼を新橋汐サイトにある「シンガポール南海鶏飯」で遅めの昼食をとり,その後東京,秋葉原,上野で順次解散し,見学旅行を無事終了することができた。
Img_0516


|

« 見学旅行1 | Main | 誤用 »

大学往来」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 見学旅行2:

« 見学旅行1 | Main | 誤用 »