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2012.03.19

『坊ちゃん』の時代

 近頃小説をほとんど読まなくなっていた。少し前に買っていた「『坊ちゃん』の時代」(関川夏央・谷口ジロー,双葉文庫)第一部から第五部までをすこしずつ読んだ。谷口ジロー氏の端正な漫画でストーリーがすすむ。夏目漱石,森鷗外,石川啄木,幸徳秋水らを中心にした日露戦争後から明治時代の終わりのこれらの人々の「苦悩」を同時進行的に描いた劇画で,たしかに「小説」をよんだようなリアルな読後感があった。なんと呼べばよいのか適切な言葉がないが,コミックノベルという英訳をあてるのが良いのでは,とする解説がついていた。
 この作品は1987年〜1995年にかけて発行された大作だ。かれらの「苦悩」はいまもまだ続いている。現代の世相のみなもとをかれらの苦悩を通じて明治時代に求めようとしたものであるようだ。もちろんフィクションではあるが,抱いていた印象と一番違ったのは石川啄木で,地方の街でシンプルな暮らしをしていたというような印象とはだいぶちがっていた。
 文庫版のサイズのため谷口ジロー氏のタッチを十分には堪能できない点が残念なところだ。画面のきれいになったiPadで加齢眼にもやさしいものが読めるようになることを期待しているが,漫画はやっぱりざら紙の週刊誌サイズでも読みたいなあ。

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