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October 2007

2007.10.29

北大

先々週は学会で北大へ。北海道は2回目。丁度今年初の寒波襲来か、ということでコートなども準備していった。紅葉はもう少しだった。短い時間だったが、日本の心理学史の中でも特別な研究室をI君に案内してもらったり、休み時間に美しいキャンパスを歩いたりして、早い秋の訪れを楽しむことができた。正門を入ると、「大志をいだいて」という石碑や明治・大正時代の特徴あるゴシック建築である研究室が目に入る。(ちなみに右手を挙げているクラーク博士の像は大学構内にはないそうだ)。
Dsc00336 端正な古河記念講堂。現在も文学部の個人研究室として使われている。木造だが、当時の意気込みの伝わる建物だと思う。



Dsc00378 生協食堂(土日もやっているのがうらやましい)と5号館にそって歩いていくと農場のポプラ並木がある。ちょうどコスモスが咲いていた。その傍らに新渡戸稲造の像がある。(内村鑑三とともに「札幌農学校」の二期生ということだ。)「武士道」は有名だが、この像はとても柔和な表情で、「和魂」とはこういうものなのかもしれないと思う。北大はいつまでも(っておこがましいが)魅力ある大学でありつづけて欲しいものだと思う。


学会の内容はメモをまとめておきたいと思いながら、先延ばしになっている。この学会は異業種交流的な内容なので、無知を思い知らされることの多い反面、新しい発見も多い学会でもある。今夏のアデレードで知り合いになった方々とも再会することができた。札幌から千歳まではO氏と同じ電車となり、また、帰りの飛行機では若手で活躍しておられるF氏と席が隣になるという偶然に恵まれ、いろいろお話をうかがいながら帰ることができた。

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2007.10.24

高学歴ワーキングプア

水月昭道(みずぐちしょうどう)氏著 高学歴ワーキングプアー:「フリーター生産工場」としての大学院 光文社新書322

 わたしのつれあいが買ってきていたのでなにげなく読み進めていくうちに、著者のとりあげる話題が妙に身近で既視感に富むことが不思議だった。面白く読んだ、という言い方は本書の内容からいって語弊があるが、読み進めるうちにますますデジャブ感は強まり、今夏ある学会で知り合いになった方で、2週間ほど前にもお会いしたばかりだったことにやっと気がついた。
 本書は最近の大学院、主にいわゆる人文系の大学院事情が描かれている。大学院をめぐる政策の変化による大学院生の増加にともなう諸問題が事例を通じてリアルに描かれている。
 ウェッブのいろいろな読書評でも反響はすばやかった。取り上げられた事例があまりにも少なく、現在の大学院がかかえている問題を評するには偏った事例なのではないか、あまりにも「キャッチー」なタイトルのため現状を分析するというよりもスタンスがジャーナリスティックすぎるのではないか、また、「仮想敵」を想定しても問題そのものはなんら解決しない、などの批評が見られた。
 水月氏は全体像というよりはむしろ偏った事例であるにしても、現実にある身近な事例こそを描かれたかったのであろう。大学院の役割として、水月氏は、もちろん知的な刺激に満ちた生活それ自他価値あるものだと述べておられるが、それに加えて、社会人の再教育機会を大学院教育の1つのあり方として取り上げておられる。かりに大学にしかゴールはないとすると出口は見いだしがたいものとなるかもしれない。大学自体もその期待される役割は変化しつつある。

 知的な能力をそなえた大学院生を社会の中で活用できないとしたらまことにもったいないことだ。本書の事例が偏っているとしたら、その対極にある事例も存在しているはずだ。おもしろみの少ないものとなるかもしれないが、全体像を把握してみたい。本書はそのようなきっかけとなるのかもしれない。

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