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2007.07.14

Esperanto

 学会の「共通語」は、と聞かれると、英語が思い浮かぶ。実際、私の参加したことのある国際学会では英語が事実上「公式」言語になっている。言葉の壁を苦にしない研究者の方も多くなっているが、コミュニケーション上の非対称性は明らかだ。
 「共通語」として連想されるもう1つの言葉はエスペラントだ。私の義理の父と母は若い頃にエスペラントを通じて知り合ったという話を聞いていた。若い頃にシドニーに赴任したときに(当時はまだ「白豪主義」の時代である)現地のエスペラントクラブを通じて現地の生活に慣れていったそうだ。そこで最初に紹介されたEさんはエスペラントの初心者であったということだが、母とEさんとはほとんどエスペラントでコミュニケーションをとり、その親交は40年後の今も続いている。Eさんの娘さんであるJさんは子どもの頃エスペラントには反発していたということだが、やはり影響を受けていたのであろう。いまは州の「移民してきた人達に英語を教える」仕事をされている。JさんはEさんと母とのエスペラントによるコミュニケーションの様子を見ていて、「対等な立場のコミュニケーションはいいものですね」と感じていると言っていた。エスペラントは我が国でも根強い実践者・支持者がいることはあまり知られていないかもしれない。私自身は「シンパ」にすぎないのだが、心理学者のO先生なども理解を示されていて、O先生らが創設されたある学会誌ではエスペラントの論文も受け入れられていたようである(現在は規約が変わったかもしれないが)。O先生は「エスペラントはあまり通じないんでしょう」と問うた人に、「いえ、東欧などでは英語より通じますよ」と答えられていた。我が国において、ある時期エスペラントは若い人の思想の中で文字通り「希望を差し示す星」であったのだろうと思う。
 現実的にエスペラントが学会で公式的に使われるには「専門用語」の策定が必要になる。世界各地ではさまざまな分野の専門家が活動を続けておられるようである。これが現実味のない行為であるかどうかの結論をくだすことはできない。生きた言葉としてのエスペラントを知ったことは、対称的なコミュニケーションの可能性を示すものとして貴重な体験だった。

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