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2006.05.08

「科学者という仕事」

 ある文字通り博覧強記サイトで知った酒井邦嘉著「科学者という仕事:独創性はどのように生まれるか」中公新書2006を読む。「はじめに」で述べられているように、学説そのもの以上にその学説を唱えたり発見したりした人物についての「余談」は今になっても講義の強い思い出として記憶に残っている。「こうした先人たちの逸話にこそ、科学者の独創性に触れる魅力や楽しさがある。そして、研究にまつわる苦楽を学ぶことは、精神的に大きな糧になると感じてきた」と述べられている。酒井氏の研究領域は脳科学という学際的な領域であり、心理学に関連したチョムスキーなどおなじみの学者も取り上げられている。本文は科学研究を志す大学生・大学院生にむけた「訓話」である。現在の科学者のおかれている諸事情をかいま見ることができる点では有益と思われるが、やや平板な印象を受ける。それよりも、この書をまとめられたきっかけであった、先人達の逸話を伝えることで科学や学問の面白さを伝える、という意図はこれらのコラムによって成功している。取り上げられている「逸話」でおもしろいのは「和風」をつらぬかれた朝永振一郎氏のものだ。
 私も学生時代に受けた講義でI先生はさかんに研究者やその研究室の写真をおりまぜられていたことをいまでも鮮明に思い出す。「ちょっと恥ずかしいけれども写真を撮らせてもらってきて、授業等で紹介するようにしてきた」とあるエッセイに書かれていた。もっとも私が興味をもったのは学説そのものというよりもその人物についての魅力であったようで、この講義の実質的成績は落第であったと思う。

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