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2005.03.26

「東大教授の通信簿」

石浦章一著 東大教授の通信簿:「授業評価」で見えてきた東京大学 平凡社新書(2005)をななめ読み。もちろん東大教授の学生時代の成績についての本ではなく、東大教養学部におけるFD活動のレポートである。要求水準の違いはともかくとして、概して先生がたの授業評価についての意見の種類や、学生の評価の傾向自体には東京大学も他の大学においても大きな差はなさそうである。東京大学においてもいわゆるFDや広報活動、教養教育の充実・改革が熱心になされている。
 あまりにも諸条件が異なるので読もうかどうしようか迷っていたのだが石浦氏は教養学部に所属しておられるということで、教養教育についての考え方はいろいろ参考になることが多かった。教養教育についての考え方は先に読んだ村上陽一郎氏の「やりなおし教養講座」と共通する部分が多いのは同じ教養学部に所属されていた、ということで当然かもしれない。

 村上氏の本で知ったことであるが、米国のMITでは学生による「年間最優秀教師賞」が贈られていて、その賞の栄誉に預かった教員は「テニュア」を獲得できない、という言い伝えがあって、大学伝説のようなものらしい。ただし、現在でも残っているのかは不明とのことだ(村上陽一郎著 科学・技術と社会 ICU選書)。これは単なる偶然かもしれないが、大学における研究と教育のバランスや優先度を考えるうえで絶妙で皮肉な教訓だ。
 大学の重要な機能の一つとしてもちろん教育があって、その上に大学は成立しているのであるが、あえて、福沢諭吉翁の「学者飼い殺しの説」(桜井邦朋著 福沢諭吉の「科學のススメ」:日本で最初の科学入門書「訓蒙 窮理図解」を読む 祥伝社2005)を理想とするような大学が一つくらいないものか、などと夢想した。このような本の感想としては反動的といわれるかもしれないのであるが。

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