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2005.03.18

教養講座

村上陽一郎氏著「やりなおし教養講座」NTT出版(2004)
本書はご自身の来歴を自伝的に語る形で現代の「教養」についての考え方を表明されたものだ。大学での教養教育についてなにかヒントになるのでは、と思い購入した。教養は福沢諭吉の言うところの「実学」であり、人の行動を定める「規矩」であり、モラルとしてとらえられている。
 ヨーロッパ、米国における教養教育を概観し、我が国の新制大学の「教養」教育について振り返り、現代の大学教育のあり方は「リベラル・アーツ・カレッジ」の教育が主体となるべき、との意見を述べておられる。大衆的な高等教育のあり方として現実に譲歩するという意味ではなく。
 最終章は「教養のためのしてはならない百箇条」からなっていて、これがそれぞれ含蓄深くおもしろい。
いくつかあげてみると、

『「正しい」こととそうでないことをはっきり区別はするが、自分が正しいという主張を第一にはしない。
社会の規範に従うことが、自分を失うことだと思いこまない。
自分の義務と権利を秤にかけて、権利に先に錘を乗せない。』

具体的な例では、

「音楽会で演奏が終わっても、先をあらそって拍手をしない、ブラボーなどと叫ばない。
満員電車で他人の背を書見台にしない。」

「教養はもちろんいろいろな知識をもっているということで決まるものではなく、「高等教育を受ける人が増えるにつれて、それが(規矩をもって行動するひとが)減るのは、その片隅にいる人間にとって、哀しいことであると同時に、責任も感じます。」()内は私の補足説明

、と述べられ、教養は品性の問題としてとらえられている。「教養教育」や「教養学部」は、むしろ、現代の大学教育においてもっとも必要な内容であるように感じた。
(ICUでの具体的なテキスト?としては村上陽一郎氏著「科学・技術と社会:文・理を超える新しい科学・技術論」ICU選書1999)

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