« 携帯水没 | Main | 見学2 »

2004.08.23

見学合宿1

今年の見学合宿の初日(8月19日)は岩槻市にある日本色彩研究所を訪ねた。柏駅に集合して東武線に乗り換え、予定通り研究所に到着した。業務中の忙しいところ、一昨年お世話いただいたNさんが今年も対応してくださった。一昨年は六本木ヒルズにほど近いところにあったオフィスを訪ねたが、最近閉鎖になって、現在はすべて工場・スタジオ・オフィスとも岩槻になったということだった。最初に研究所の沿革・業務内容・色彩についての基本的な知識についてレクチャーを受け、その後、アトリエ・工場に移動し日本色彩研究所のもっとも主要な製品である色紙の製作過程を見学した。色紙(といってもふつうのいろがみとは異なり、非常に厳密に管理されたもの)は職人さんによる手作りである。インクを混ぜて、試作し、乾燥後色彩の計測機による測定を行い確認する、という作業を繰り返して最終的に基準内に収まるものが製品となる。このあたりの調整は職人的なカンと経験がものをいう世界で、塗料の匂いは強く、また、乾燥のために相当高い室温になっている文字通りの工場なのだが、材料が絵の具や塗料なので、絵画のアトリエのような印象を受ける。見学当日は猛暑で、室温も相当なものだったが、乾燥しているため不快ではなかったが、長時間の作業はやはりなかなかきびしいものだろうと思う。色研の創設者の方はもともと画家であったし、色彩心理学では有名なマンセルも画家であった。感性と計測器の組み合わせが色彩という心理物理現象を象徴しているようにも感ずる。電子化の技術もすすんでいるが、電子ペーパーでこのような色彩コントロールが可能になるのはいつ頃になるのだろうか。
 色研では独自の調査・研究のほか、最近では自治体からの依頼による建築や景観ガイドラインについての調査依頼が多いとうことだった。企業においても製品の色や企業イメージはますます重要になってきている。
 独自の調査研究は資金の点で難しい点も多いということだったが、定点観測(銀座)は世界的にも例がなく貴重なデータになっている。この調査では通行人の衣類や持ち物の色を調査していくものだが、短時間に記録をとらなければならないので、色彩のコード化のトレーニングにもなっているということだ。
 心理学的には色の象徴性に関するテーマや認知的な記憶色に関するテーマなどそれこそ多彩なテーマがあるが、色彩学・測色学的な分野に関わる心理学の研究者はそれほど多いわけではないが、現在のテレビ技術の実現に色彩心理学者が大いに貢献してきた、ことや、一般にはほとんど知られていないが、実際の生活上においても色彩が関わる分野(たとえば、信号機の色の決定など)においては、色彩心理学者の貢献があったという点は記憶しておくべきだろう。
 なお、Nさんは学部・大学院で心理学を学ばれていたが、色彩心理学は研究所に勤めるようになってから勉強されたという。Nさんは実験心理学の素養、すなわち、方法や手法を、仕事に応用することができた、と話されていた。参加者にはこのあたりの感触を現場で感じ取ってもらうことが見学合宿の目的なのである。

SIKIKEN.jpg

|

« 携帯水没 | Main | 見学2 »

大学往来」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 見学合宿1:

« 携帯水没 | Main | 見学2 »