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2004.05.07

心理学史

 寺沢龍「福来友吉と千里眼事件」草思社2004を読む。心理学史の中では特異な事件として記憶されている「千里眼事件」と福来氏についてのノンフィクションである。今日でも超能力を話題にして、肯定派と否定派が論争するようなテレビ番組がある。現代では肯定派の論者はちょっと弱すぎて、大槻教授にあえなく論破されているが、この本の中では物理学の当時のそうそうたる学者も結論を出せなかったようである。
 「史実」としてはなんらかのトリックがあって、それを見破ることができなかった責任をとって福来氏は大学(当時の東京帝国大学・助教授)を辞職した、というように認識していたのだが、事情はいろいろ複雑だったようだ。寺沢氏は心理学を体系的に学ばれた方ではないようであるが、福来氏のとった実験手続きや心理学実験の特質については的確な表現をされている。この本を読むかぎりでは福来氏は科学的な態度で「千里眼」の実験をすすめておられる。寺沢氏も結局は結論をくだしてはおられないのであるが、福来氏がなにか不正を働いたのではない、との心証のもとにこの本を書かれている。もし、この推測が正しいとすると、作証を働いたのは誰なのか?事の真相はなんだったのだろう。こんな大事件が日本の心理学の歴史のはじまりにあったのだなあ。

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