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2004.04.25

きりぬき

 奥村宏氏「判断力」(岩波新書2004)。奥村氏は独創的な経済学者として知られている。この本のなかに大学教育についての大切な指摘がある。経済学においても「輸入学説」を学ぶことが学者や研究者としてのふつうのコースとされている。奥村氏はまずこれがおおきなまちがいで、学説を無批判になぞることが「判断力」を損なうことになっていると言う。それで、ゼミでは教科書を読むというスタイルをとらず、学生が自分で決めたテーマについての新聞記事のスクラップをすることからスタートされるとのことだ。
 まずは自分であつめた生のデータをじっくり読み取ることから始めるということだろう。新聞には経済関係の記事は豊富で、各記事の関連性や背景を分析するのはたしかにおもしろいだろうと思う。
 私の関係している分野でもこのようなスタイルをとることができればとてもおもしろいことができるだろう。ただ新聞記事は経済にくらべるととても少ないし、新聞記事を生のデータとするわけにはいかないが、たしかに、テキストや先行研究からスタートする方式がすべてではない。私も卒論には新鮮な見方を期待しているのであるが、実際には教科書を模倣する方式しかとることができず、具体的な方法を提示できないでいた、と言わなければならない。奥村氏のきりぬき方式をどのようにすれば私の関係する分野でも実現できるか、考えてみるべきだと思う。
 本書は学問のあり方への批判の書であり、耳の痛いところが多いが、耳を覆ってはいけない話が多くある。

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