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2004.01.09

生態学的妥当性

「ボス猿」消滅の危機!?:発祥の地でも呼称見直し論:力関係は餌場だけ・・・各地で改称(2004/1/7東京新聞)

申年ということで動物ネタの新聞記事。野生猿の餌付けを行ったところ「雄の優先順位」が観察され、第1順位の雄猿を「ボス猿」として「世界ではじめて名付けられた呼称」で、人間社会の戯画的な表現としてわかりやすいストーリーであったため、一般にも定着している。しかし、この優位性は「餌場」という人工的な環境下のみで見られる現象で、猿のグループ内での序列性は自然な環境では見られないことは学術的には明らかになっていた。このため各地の動物園では解説に「ボス猿」の名称をつかわない方向に改められるようになってきている、ということである。

しかし、一般的に親しまれてきたこの名称は大きな「観光資源」ともなっているので、学習施設では実際の生態系では優位性は見られないことを説明した上で「ボス猿」という言葉の由来を説明するようしている、という。

生態学的な妥当性に欠く条件での行動事実はどのように考えればよいのだろうか。人間は文字通り人為的な環境下におかれている。むしろ、人間行動の多様性を知るためにはこのような人為的・人工的な環境下での研究も不可欠のように思われる。気をつけなければいけないのは、このような事実から過剰な寓意をひきだそうとする傾向だ。

類似した名称ではストレス実験の「管理職ざる」というものもある。こちらは実験上のアーチファクトであることが判明しているのであるが、わかりやすいストーリーをもっているために正しいと考えている人も多いのではないだろうか。

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